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2018年5月5日投稿
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不定期更新・連続WEB小説『京都 亀岡物語』第2話「白と黒」


不定期更新中。大好評リレーweb小説「亀岡物語」

第一話は★こちら★
健二の両親、茂は妻の久子に亀岡花火大会の日、ロマンチックなプロポーズな言葉をかけるのだが……。

第二話 「白と黒」 著:ひごのかみ

「俺は、警察官としてこの町を守っている。だが、一番守りたいのは、久子、君だ」
 久子はそれを聞いて最初は戸惑ったような表情を見せた。しかし、すぐに笑顔に変わった。それ以上の言葉はいらなかった。茂は久子の肩と腰をつかんで引き寄せて二人は見つめった。自然と二人の顔は近づきあい、唇が重なり合った。
 奥手の茂にとって、それが初めての口づけだった。緊張と歓喜の中、背後で花火が二人を祝福するように音を立てて弾け、澄み切った保津川に二人が一つとなる影が映っていた。

 半年後、二人は入籍した。結婚式は千歳町の出雲大神宮で執り行われた。それは久子の希望であった。神前での白無垢の花嫁衣裳を着ての挙式が、子供のころの夢であった。
 儀式は二月に執り行われた。数週間前まで降り続いてた雪が、境内の陰に薄く積もっていた。泥と混ざって茶色く汚れている。
 その境内を緊張した面持ちの初々しい二人が歩いていた。
 観光客が物珍し気に二人を眺め、遠くからカメラを構えていた。茂は気恥ずかしさがあった。見世物にされているような気分ではあった。隣を歩く花嫁衣裳の久子をちらりと覗き見る。
 角隠しの隙間から見える久子の頬は、ほんのりと赤く染まっていた。花嫁衣裳の純白さとの対比でそれが鮮やかな朱色にも見え。背後の出雲大社の鳥居の赤色と変わらないぐらいの鮮明さとなって茂の目に飛び込んだ。
 久子は、茂の視線に気が付いたのか、伏せていた眼を上げて茂を見た。目が合った。
 とたん二人は、恥ずかし気に目をそらした。そして、二人して微笑を浮かべた。
 気恥ずかしげなのは二人とも同じであった。二人ともお互いの気持ちが気になるのも同じであった。そのことに気づくと、どこか二人の気持ちが通じ合ったように思えた。
 そんな二人のつながりを感じあった微笑を二人は浮かべたのであった。
 ふ、と、並んで歩く境内の玉砂利の前を黒い影が横切った。
 茂はそれを目で追った。
 黒い猫だった。まだ産まれて間もないのかもしれない。体は小さい。だが、その肉がなく、やせ細り、毛は濡れて萎え切っている。
 親猫とはぐれて数日何も食べていないという様子であった。
 黒猫は、社務所の柱の陰に隠れてこちらを警戒した目で窺っていた。出雲大神宮は、婚礼のためいつもと違う雰囲気であり、黒猫はそれに困惑しているかのようだった。
 茂は一瞬、不吉な、と思った。
 二人の門出の瞬間を、黒猫、しかもやせ細った黒猫が横切った。ジンクスを気にする方ではないが、せっかくの婚礼が邪魔をされた気がした。
 威嚇して追っ払おうか、と思った。事実、付き添いの親戚たちも同じことを思ったのか黒猫の方へ足を向けようとしていた。
 と、久子が突然小走りで黒猫の方へ近づいて行った。
「おい、危ないぞ」
 思わず口に出た。仔猫とはいえ野生だ。ひっかかれでもしたら傷から菌が入り大ごとになりかねない。何よりも、久子は今日の主役のひとりだ。なにも、久子が猫を追っ払う必要はないだろう。
 しかし、久子は茂の声が聞こえなかったかのように、黒猫へと近づく。
 黒猫はおびえたように毛を逆立てた。仔猫なのでそれは滑稽な様子でもあった。
 久子は、黒猫と二、三メートルの距離で立ち止まるとその場でしゃがみ込み、右手を黒猫の方へ向けた。
「おいで、おいで」
 とささやくような声で黒猫に話しかける。手のひらを上に向けた右の手の指も、声に合わせておいで、おいでをしている。
 背後の親せきが、はしたない、というような声を上げた。
「ねえ、なにか食べるものない?」
 久子は振り向いて茂に訊いた。答えに窮していると、親せきのひとりが、
「今は婚礼の最中です。そんなところに座ると裾が汚れます。早くいきますよ」
 と、刺々しい声で久子に言った。
「あんなかわいそうな子を放っておけません」
 凛とした声だった。絶対に譲らないという、強い意志を持った声だった。
 茂は時々、そうした久子の声を聞くことがある。久子ほどやさしい人間は今まで見たことがないと思う。他人のためなら自分が犠牲になっても仕方がない。そして、他人を見捨てるようなことを絶対にせず、凛とした、先ほどのような声で弱者を救うのだ。
 茂は親せきの数人に訊いてまわり一つのまんじゅうを受け取った。小さな子袋に入った、どこの商店にでも売っているようなまんじゅうだった。
 茂はそれを袋から取り出すと、久子の横に座った。
 依然、黒猫は警戒したように濡れた毛を逆立てて久子を睨んでいた。
「これ、食べるかな?」
 茂は久子にまんじゅうを渡した。
 久子は、丸い眼を細めて、まんじゅうを小さくちぎった。
「さ、おいしいわよ。おいで」
 チッ、チッ、チッ、と口の中で舌を鳴らし黒猫を呼ぶ。
だが、黒猫は警戒して近づかない。
「貸してごらん」
 茂は久子から、ちぎったまんじゅうを取ると、黒猫の目の前に落ちるように放り投げた。その動作に驚いたのは黒猫は数歩飛び下がるようにして後ずさった。
 恐る恐る近づいていき、鼻先で落ちたまんじゅうの匂いを嗅いでいる。しばらくしてそれを食べた。美味そうに食べた。
「どう、もっとあるわよ、おいで」
 と久子は手のひらにまんじゅうを乗せ、黒猫の方へと向ける。空腹のときに甘いまんじゅうを食べて警戒心も薄れたのか、ゆっくりと近づいていく。
 久子の指と、黒猫の鼻が触れ合う。黒猫は久子の指をしつこいぐらいに鼻を動かして嗅ぐ。
「冷たい」
 久子は、こそばゆそうに顔を歪めた。だが今、動いたらせっかく解けかけた警戒心が復活するのを知っている。まだ肌寒く、黒猫の鼻先には、鼻水が出ている。
 黒猫が久子の指を嗅ぐたびに、鼻水が指に付く。だが久子はそんなことに構わずに黒猫に任せている。
 黒猫はしばらくして手のひらのまんじゅうに鼻をやった。鼻をひくひくと動かして、先ほど食べたものと同じだとわかったようで、それをかぶりついた。
 手のひらのまんじゅうをすべて食べ、匂いの残った手のひらを舐めた。
「美味しかった?」
 久子の問いに、黒猫はにゃーと、答えた。先ほどの毛を逆立てるほどの警戒心は完全に解かれていた。人懐っこい丸い眼を久子に向けて、もっと食べるものを要求しているようだった。
「かわいい」
 久子はそうつぶやくと、黒猫を抱き上げた。黒猫は抵抗しなかった。
「いい子ね」
 いいながら、胸の前で抱きしめた。
「あっ」
 と思わず茂は声を上げた。黒猫は泥で汚れている。抱きしめるような真似をすれば間違いなく久子の来ている純白の花嫁衣装も泥で汚れてしまう。
 久子は、赤ん坊をあやすように胸の前で黒猫を揺らしていた。黒猫は気持ちよさげに目を細めていた。
 黒猫の体が触れた部分が黒く汚れているのが見える。気づいていないのか、と思ったがそんなはずはない。久子は、今日、純白の花嫁衣装を着る時、神経質と感じるぐらい汚れを気にしていた。素手で他人に触れるのもの嫌がっていたぐらいだ。
 黒猫を抱けば汚れるのなど重々承知の上のはずだ。
 久子にとっては子供のころの夢だった純白の花嫁衣装が汚れることよりも、親猫とはぐれ弱弱し気にしている仔猫に安らぎを与えてやることの方が大切だと考えているだけのことだろう。
 久子は、茂の方を振り向いた。嬉しそうに目を細めながら言った。
「この子の名前何にしましょうか?」
 茂は思わず苦笑した。今日だけで一気に二人も家族が増えることとなる。
「クロでいいんじゃないか」
「単純ね」
「単純がいちばんさ」
 久子は、抱きしめていた黒猫を両手で高々と掲げる。黒猫が少しおびえたような顔で久子を見下ろす。
「いい、今日からあなたはクロよ。いたずらしちゃダメよ」
 と、久子は笑った。純白だった花嫁衣装は胸のあたりはクロの泥で汚れ、裾は地面の泥で汚れていた。今日は神聖で厳格な婚礼の日のはずだが、予定とは少し狂ってしまった。
 しかし、茂は思う。こんな久子に俺は惚れたんだ、今日が人生で一番の幸せの日になった、と。
 花嫁衣装を着て黒猫を抱き屈託なく笑う白と黒のコントラスを織りなす久子を見て、彼女は絶対に俺が守ってやろう、どんなことがあっても守ってやろうと、ひそかに胸に誓った。

【記者が交代で書く連続WEB小説・「京都 亀岡物語」】
次回、かめじ~ん先生による続きを掲載予定。茂と久子の新婚生活がスタート。健二の誕生により運命は激動す!乞うご期待!!

※この内容はフィクションです。登場人物、団体は架空のものです。

ご観覧ありがとうございました!
2018/5/5
不定期更新・連続WEB小説『京都 亀岡物語』第2話「白と黒」

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