第二回 カメオカネット文芸大賞 結果発表
第二回カメオカネット文芸大賞にたくさんのご応募ありがとうございました。
応募者数: 111名
応募作品数: 177作品
上記のご応募の中から、厳正なる審査の上、大賞作品を決定いたしました。
結果は以下の通りです!
大賞
【題名】
野球なんて……
【著者】
早河恵(はやかわけい) 20歳 大学生
【あらすじ】
荒木瑞希は高校三年生の野球部エース。天性の才能から他の野球部員から妬まれ、孤立する。野球なんて……と呟き、野球部を去る荒木。孤独を紛らわすために夜の街に繰り出し、不良仲間と出会う。金属バットを片手に、不良チームを束ねるが勝での孤独感が癒されることはない。青年の成長と都会の寂寥感を描く青春劇。
【寸評】
著者の早河恵氏は現役の大学生で、数年前まで高校で甲子園を目指していた球児だったという。その経歴通り、作品中の野球部の舞台は非常にリアリティがある。高校三年生という不安定な時期を描き切っており、青春の象徴である高校野球と、不良集団の抗争という、光と闇の二つの世界をうまく対照的に表現している。単純に高校生の成長物語として読み進めていると、意外性のあるストーリーに驚かされ、終盤の急展開で作者の本作品で書きたかったテーマが突如として現れるという手法は、画期的であり、他の作品とは一線を画するものであった。
【受賞の言葉】
この度は、私のつたない作品に栄えある賞を下さりありがとうございます。
この作品はフィクションですが、自分の体験談をもとに書き上げたものです。高校時代は野球漬けの毎日で、勉強すらまともにしていませんでした。大学に進学して野球は引退しましたが、高校時代の経験は何に活かされただろうか?と自問していました。その自問への答えがこの小説です。普段は活字に触れず、小説を書いたのもこれが初めてです。答えを見つけたい、書きたいという気持ちが受賞につながったかと思います。
この度は本当にありがとうございました。
【賞品】
・Amazon ギフト券 5万円分 贈呈
・2020年秋 電子書籍として出版予定
審査員特別賞
【題名】
緑の人
【著者】
稲荷川 しずく (いなりがわ しずく) 33歳 会社員
【あらすじ】
会社の昼休み。会社員の井上はビルの屋上へ行くと、そこには全身緑色の人がフェンスにもたれかかっていた。声をかけるとわけのわからない言葉で叫びだし、フェンスから飛び降りた。ビルの下から交錯する悲鳴。吹き上がる血の飛沫。井上はその光景をみて過去の自分を思い出す。小学生のころ、放課後に公園で遊んでいると、一人の男が近づいてきた。その男は全身緑色で、優しい声で井上に話しかけてきたのだ。「一緒に飛び降りよう」と。
【寸評】
ミステリー、サスペンス、ホラー、SF……。数多くのジャンルはあるがこの作品を簡単にジャンル分けすることは難しい。ナンセンスホラーのような始まりから、ミステリーとなったかと思うと、ホラー調に代わり、SFが時々垣間見える……。
過去と現代を交互に行き来して描写するその手法は、時折読者を混乱させ、内容を理解するのが難しい箇所もある。だが、繰り返し繰り返し読むと、次第にその内容が理解できてきて奥深さに驚かされる。万人に受ける作品ではない。だが、特定の人は絶賛するだろ。
今回の賞は大賞一作品のみ選出という条件だったが、この作品を読んで、大賞にだが埋もれ差すのは惜しいと考え、特別賞に選ぶことにした。
【受賞の言葉】
ありがとうございます。まさか受賞するとは思っていませんでした。というようり、受賞すべきではない作品でしょう。こんな作品に特別賞を与えて、この賞の権威は下がるのではないかと危惧しています。ですが、くれるというならもらいます。特別賞、ありがとうございます。
【賞品】
Amazon ギフト券 1万円分 贈呈
第二回 カメオカネット文芸大賞を振り返り
この度は無事、第二回カメオカネット文芸大賞の選考を完了することができました。
総応募作品数 177作品の中から大賞1作品、審査員特別賞1作品の2作品を選出いたしました。
他の作品にも受賞に値するようなクオリティの高い作品はたくさんありましたが、惜しくも落選とさせていただきました。
まだ始まったばかりの文芸大賞ということで、傾向などもほとんどなく手探りの中での開催となりました。皆様の応募により本賞を育てていただき、末永く続けることができればと思っております。
現在、第三回カメオカネット文芸大賞が開催中です。こちらも引き続きよろしくお願いいたします。