南丹市の八木町にあるJR山陰本線の八木駅。亀岡市の千代川駅の隣の駅にあたり、南丹市の入口ともいえる。駅周辺には商店街や、南丹病院から名称が変更された京都中部総合医療センターなどがある。八木町の中心地として、他の市町村から病院への来院手段として、八木駅の整備が望まれていることから、八木駅の橋上化の工事の計画が立案され、2019年に旧駅舎の解体工事が始まり、2021年に工事完了の予定である
本ページでは南丹市、八木町の策定した八木駅西口の整備プロジェクトに関して当サイトのまとめたデータなどを加え説明する。
目次【本記事の内容】
JR八木駅周辺整備プロジェクト
現状
京都府南丹市八木町。2019年の八木町の人口は7,232人。10年前の2009年は8,175人。ここ10年間でおよそ12%の減少をしている。
現在の少子高齢化、都市部への人口の集中化などの流れの中で人口減少は避けがたいものがあるが、亀岡市の人口減少率を見てみると、2009年から2019年の10年間で7%程度の減少にとどまっており、その差は歴然である。
亀岡市が京都市のベッドタウンとして人口減少をかろうじて緩やかなものしているのに比べ、亀岡市からほぼ距離が変わらない八木町では亀岡市以上のスピードで人口が減少している。
ただし、着目したいのが世帯数である。
人口は減少しているが、下記のグラフの通り世帯数自体は増加している。
大家族かから小家族へと住環境が変化していることの表れではあるが、住宅需要に関してはまだまだ需要があることがわかる。
また八木駅から京都駅までは電車で40分ほどであり、十分に通勤圏内であり、事実、八木町の住人のうち40.7%が京都市内へ通勤している。(南丹市調べ)
例えば、同じ南丹市内の園部町を見てみよう。京都縦貫道の園部ICにほど近い内林地区。土地開発が進み新興の住宅地が立ち並んでいる。
この内林地区も京都市内への通勤、通学者が数多く住んでおり、南丹市内でも人口の増加が著しい地区である。
内林地区の人口-2009年 505人 2019年 1,193人と、倍以上に増加している。特に新興住宅地であるため、20代、30代の若年夫婦とその子供の数が多く、園部小学校の児童数はここ数年で急増している。
園部小学校児童数
2019年 588人
2012年 471人。
八木町よりも京都市内に遠いにも関わらず、である。やり方により八木町も若年層の市外への流出防止、転入増も十分に可能であることがわかる。
データで見てみると八木町の若年層の人口減少は著しい。
2010年と2019年の年齢別の人口を比較すると、20代の人口率が減少しているのがはっきりと分かる。高校、大学を卒業し就職をする際に市外へと転出している数が増えているものと思われる。
30後半から40代はそこまで大きな減少はない。結婚、出産後に市外から地元へ帰る人の割合が高いと思われる。
課題
上述した通り、八木町はここ10年間で12%の勢いで人口が減少している。
かつてはにぎわった八木駅周辺の商店街もほぼシャッター通りと化しており、かつての賑わいはない。人口が減少はすなわち消費者の減少を意味し店舗が減少し、利便性が損なわれ、さらに住民が市外へと移り住み、人口が減少するという負のスパイラルに陥っている。
南丹市の内林地区のような若年層の夫婦を呼び込むような新興住宅地の開発も進んでいない。
主要産業を成長させるとともに、JRの八木駅から京都駅まで40分という良好な鉄道アクセスという立地。ほぼ中心部を国道9号線が縦断しているという良好な自動車交通網。口丹波地区の医療を担っている京都中部総合医療センター。
これらを活かしたベッドタウン化のため八木駅周辺の整備が急務である。
八木駅周辺ならば、八木駅の西口を住宅地として整備するだけの広大な土地は存在する。
丸で囲ったあたりが西側の開発が期待できるエリア。東側は商店街や住宅地などが立ち並ぶ。家屋の老朽化や、閉鎖店舗が目立つなど、上述の通り賑わいは失っていり、かつての賑わいを取り戻すために、開発可能な西側エリアの整備が望まれる。
西側エリアはほぼ田畑となっており、人口はおよそ30人程度であるが、ここを住宅地として開発できれば十倍以上もの人口増が予想されている。
しかし2019年の現状では、JR八木駅の出入り口は東口のみとなっており、西側エリアへは、いったん東側の改札を出て、ぐるりと遠回りをして踏切をわたる必要があり非常に利便性が悪い。
写真の矢印の通り大きく迂回する必要がある。直線距離なら5分とかからないが、これだけ迂回すると15分以上はかかってしまい、開発の障害となっている。
計画
これらの課題を解決するために立案されたのがJR八木駅周辺整備プロジェクトである。
八木駅の改修を行い、西口の改札口を新設。東西の相互アクセスを可能にし駅東西の交流を活発化し、八木駅西側エリアの整備を実施し、人口増加、地域経済の活性化を目指すものである。
具体的には以下の通り。
・八木駅駅舎の橋上化の改修工事。(JRが実施)
現在の木造の駅舎から近代的な駅舎へと建て替えられます。
橋上化により東西の人の移動が容易に。
配置図と予定は以下の通り(南丹市ホームページより引用)
・八木駅の東西自由通路の整備。
八木駅の駅舎の改修工事はJRが行いますが、東西を自由に行き来の出来る自由通路は南丹市が工事を主体で行う。
・八木駅西土地区画整理事業
農地の広がる八木駅の西側エリアを整備し、住宅地を形成する。また、八木駅の西口に駅前広場、ロータリーを整備し、周辺地域の活性を目指す。
主体は八木駅西土地区画整理組合。
・地域定住促進拠点施設整備事業
八木駅の東側エリアに広がる商店街などは空き店舗や空き家が目立つ。この空き家への定住促進を図るために、お試し住宅や拠点整備を行う団体への支援実施。
主体は南丹市。
目標
上記事業における目標値を南丹市は定めている。
なお目標値は毎年6月に南丹市地域創生会議で検証が行われ目標値の見直しが行われる。
その結果に関しては南丹市のホームページにて公開されるので、誰もがアクセス可能である。
左が現状で、右が目標値
JR八木駅利用者数
2016年 3068人 → 2022年 3150人
八木町地域商工会会員数
2016年 182人 → 2022年 185人
※西側エリアの人口(想定数)
2019年 約30人を将来的に580人。
まとめ
南丹市八木町は、立地的に京都市の通勤圏内でありながら人口減少に歯止めがかからない状態である。
なんとか八木町を含む南丹市の活性化のために、この整備プロジェクトは成功を収めてもらいたいものである。
2020年現在、八木の駅舎の建て替え工事は開始されており、今後は橋上化、西口の整備、西側エリアの住宅地化と、どんどんと工事が本格化していくことだろう。
京都市内での就労者も一軒家を購入する際に、土地の安い亀岡や南丹市を選択する人も少なくない。現状八木町では振興の住宅地がないので、園部町周辺で購入するケースが多い。それが今回の八木駅の整備により八木町へと移り変わり周辺が活性化していくのが望ましいが、まだ八木駅周辺は園部町に比べても商業施設は少なく、住環境としては満足度が低い土地ではあろう。
それをどう活性化し、企業などの誘致を進めていくか。今回の整備プロジェクトと同時に進めていく必要があるだろう。
また整備プロジェクトがうまくいくかどうかはまだ不透明ではあり、今後も南丹市ホームページに掲載される目標の達成状況を確認して注視していきたい。
令和の年は、八木駅周辺の整備、園部駅東口の整備、縦貫道の4車線化等々、南丹市周辺の活性化が予想される年でもある。
無事、今回の整備プロジェクトが成功を収めることを祈っております。